認知症介護基礎研修とは?

認知症介護基礎研修とは?

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認知症介護基礎研修とは?無資格からでも介護職に就ける?
2024年から完全義務化の背景と対象者、介護職員初任者研修との違いについて

Powerd By ニチイ学館
2024.03.28

今までは無資格でも挑戦することができた介護職ですが、2024年4月からは認知症介護基礎研修の取得が完全義務化となります。この記事では、完全義務化の背景と対象者、介護職員初任者研修との違いなどについて解説します。今まで無資格で働いてきた方やこれから介護業界への就職を検討される方は、ぜひ参考にしてみてください。

認知症介護基礎研修とは

「認知症介護基礎研修」とは、介護職として最低限知っておきたい、認知症の基礎知識や技術の取得を目的とした公的研修です。新しい研修ではなく、2015年に策定された「認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)」に基づいて、良質な介護を担う人材を質・量ともに確保する目的で2016年度から開始されました。
認知症介護基礎研修は、1日で受講が完了するもので、認知症介護研修の中で最も基礎的な研修です。介護の仕事で初めて認知症の人と接する場合、戸惑ってしまったり、間違った対応をしてしまったりすることもあります。あらかじめ認知症の症状や対応方法を知っていれば、自信を持って介護ができるようになり、同僚やリーダーなどとの業務上のやり取りもしやすくなります。

認知症介護に関する研修は他にも、「認知症介護実践者研修」、「認知症介護実践リーダー研修」、「認知症介護指導者養成研修」などがあります。

 

認知症介護基礎研修は2024年4月から完全に義務化

2024年4月から本格的に義務化される認知症介護基礎研修。なぜ必要なのかを理解するためにも、義務化の背景を見ていきましょう。

●2024年度から介護職員の受講が義務化

2021年4月の介護報酬改定から、無資格で働く介護職員に認知症介護基礎研修の受講が義務化されました。2024年4月までの3年間は措置期間中で、受講は努力義務となっていましたが、2024年4月から完全に義務化されます。

 

●認知症介護基礎研修が義務化された背景

平成29年度高齢社会白書では、2025年には高齢者人口の5人に一人が認知症になると推計されており、85歳以上では、認知症の症状が現れるのは4割を超える可能性があると考えられています。高齢者や認知症の方が増えていく中で、認知症介護の知識・技術を持った人材を増やし、基礎的なサービス提供ができるようになることを目的としたのが、認知症介護基礎研修です。
多くの介護職員に認知症に関する必要な知識や技術を身につけてもらうため、研修時間は6時間と短く、義務化された2021年からはeラーニング研修ですべて修了できるようになりました。

 

●認知症介護基礎研修は就職後1年以内に受けよう

新卒や中途を問わず、無資格で新たに入職した方には、受講猶予期間が1年間設けられています。就職後1年以内に受講しましょう。

 

 

認知症介護基礎研修の対象者

認知症介護基礎研修は義務化されましたが、現在介護職員として働いているすべての人が受講対象となるわけではありません。対象者と、免除となるケースを確認しましょう。

●認知症介護基礎研修の対象者は?

認知症介護基礎研修の対象となるのは、介護に直接携わる職員のうち、医療・福祉関係の資格を持っていない方です。
医療・福祉関係の資格を持っているが、改めて認知症介護を基礎から振り返りたいという方も受講できます。

 

●受けないとどうなる?

2024年4月以降、就職後1年経っても認知症介護基礎研修を受けていない無資格者は、介護事業所で介護に直接携わる職員として働くことができません。
無資格者は介護職員として配置要件を満たさなくなってしまうため、介護事業所は無資格者を採用してから1年以内に認知症介護基礎研修を受けさせる必要があります。受けさせないと運営基準違反となり、行政指導の対象となります。これは、その介護事業所に認知症のご利用者さまがいるかは関係ありません。

 

●認知症介護基礎研修が免除対象となるケース

人員配置基準上、員数として算定される従業者以外の職員や、直接介護に携わる可能性がない職員(事務専門の職員など)は、認知症介護基礎研修は義務づけられていません。 また、医療・福祉関係の資格を持っている人は免除対象となります。

 

【免除となる資格の例】

介護福祉士、社会福祉士、福祉用具専門員、介護支援専門員、看護師、准看護師、医師、歯科医師、歯科衛生士、薬剤師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、精神保健福祉士、あん摩マッサージ師、はり師、きゅう師、柔道整復師、管理栄養士、栄養士など

【免除となる研修の例】

実務者研修修了者、介護職員初任者研修修了者、生活援助従事者研修修了者、介護職員基礎研修課程修了者、訪問介護員養成研修一級課程・二級課程、認知症介護実践者研修修了者、認知症介護実践リーダー研修修了者、認知症介護指導者研修など

また、卒業証明書や履修科目証明書が必要となりますが、養成施設で認知症の科目を受講した人や福祉系高校の卒業生も免除となります。

 

●認知症の「民間資格」は免除されない

認知症介助士、認知症ケア専門士、各種介護事務資格などの民間の法人や企業が認定している資格は、免除の対象外となります。また、認知症サポーター養成講座修了者や社会福祉主事(任用資格)取得者も免除されません。ほかに医療・福祉関係の資格を取得していない場合には、認知症介護基礎研修を受ける必要があります。

 

認知症介護基礎研修の受講方法

それでは、認知症介護基礎研修の受講方法を見ていきましょう。

 

●受講方法は自治体によって異なる

認知症介護基礎研修の受講方法は、研修を主催する自治体や自治体が指定した実施団体によって異なります。詳しくは勤務先や受講する自治体の案内を確認してください。

●申し込み方法

認知症介護基礎研修は、無資格の個人に義務づけられたものではなく、従事する介護事業所に義務づけられたものです。申し込みには従事する介護事業所が、あらかじめ事業所登録を行っておく必要があります。
東京都(八王子市以外)など、実施団体を認知症介護研究・研修仙台センターとする自治体の場合、受講者はオンラインで受講申し込みをします。この時、勤務先の事業所コードが必要です。その後、受講料を支払うことで申し込みが完了します。
詳しくは勤務先や自治体の案内を確認してください。

●受講方法

自治体によって異なりますが、認知症介護基礎研修は、原則としてオンライン上ですべての受講が完了するeラーニング研修で実施されています。自治体によっては、集合型研修は提供されていません。
eラーニング研修は、約150分の動画を視聴し、各章ごとに確認テストを受けます。集合型研修の場合は、3時間の講義と3時間の演習で修了です。いずれも1日で修了します。

 

●申し込みから修了証書受領までの流れ

認知症介護基礎研修は、原則としてeラーニング研修となり、申し込みから受講、修了証書受領まですべてオンラインで完結します。

① 事業所があらかじめ事業所登録を行う
② 受講者が受講申し込みを行う(事業所コードが必要)
③ 受講料を支払う(クレジットカード払い、事業所での一括払い、コンビニ払いなど)
④ 受講料の支払いが確認され、受講許可のメールが届く
⑤ 受講者IDでログインしてeラーニング研修を受講し、各章の終わりに確認テストを受ける
⑥ すべての確認テストに合格する
⑦ 修了証書が発行されるのでダウンロードする

修了証書のダウンロードに発行制限はないので、受講者IDでログインすればいつでもダウンロード可能です。
集合型研修の場合には、自治体が指定した日時ごとに申し込み、受講、修了証書が発行されるようになります。詳しくは各自治体にお問い合わせください。

 

●認知症介護基礎研修eラーニング研修について

認知症介護基礎研修は、原則としてeラーニング研修ですべて受講します。
インターネット環境があれば、パソコンやタブレット、スマートフォンから受講可能です。

 

 

認知症介護基礎研修の学習内容

続いて、認知症介護基礎研修で学ぶ内容を見ていきましょう。

●カリキュラムの内容・学べる科目

認知症介護基礎研修では、認知症を取り巻く現状から具体的な介護の考え方まで、下記のカリキュラムで基礎をしっかりと学びます。

1章:認知症の人を取り巻く現状
    認知症施策推進大綱など、認知症施策の動向について主要な事項を理解する

2章:具体的なケアを提供する時の判断基準となる考え方
    ケアの基礎となる考え方を理解し、偏見の解消や意思決定支援の必要性など基礎となる知識を得る

       1)認知症ケアにおいて基礎となる理念や考え方(パーソン・センタード・ケアなど)
       2)本人の視点からみた尊厳の保持の重要性
       3)認知症の人への偏見や誤解とその解消
       4)日常生活・社会生活における意思決定支援とは

3章:認知症の人を理解するために必要な基礎的知識
    認知症の症状と生活や心理への影響、症状出現に影響する要因について学ぶ

       1)認知症の定義、有病率、原因疾患別の特徴や割合、主な中核症状の特徴と行動・心理症状(BPSD)に関する基礎的知識
       2)中核症状の生活への影響と心理
       3)中核症状、環境要因等の影響要因、本人の心理 との関係による、行動・心理症状(BPSD)のとらえ方と出現原因
       4)認知症の人にとっての環境の重要性
       5)健康管理や廃用症候群の予防の重要性

4章:認知症ケアの基礎的技術に関する知識と実践上の留意点
    チームケアの観点を含めた基礎的な認知症ケアの方法や家族介護者への支援方法を理解する

       1)認知症の治療の概要
       2)認知症の人との適切な関わり方
          ①認知症の人との基本的なコミュニケーションの方法
          ②不適切なケアの理解と回避方法
       3)認知症の症状への対応
          ①病態・症状等を理解したケアの選択
          ②行動・心理症状(BPSD)を理解したケアの選択と工夫
       4)意思決定を尊重する支援の方法
       5)チームケアの基本と情報共有
       6)家族介護者の理解と支援方法

 

●認知症介護基礎研修の受講時間・受講期間

eラーニングでは、約150分の動画を視聴し、各章の確認テストを受けます。自分のペースで受けることも可能ですが、受講許可のメールに記載された日数以内に受講を修了させる必要があります。 集合型研修の場合は、3時間の講義と3時間の演習となり、1日で修了します。

 

●認知症介護基礎研修の受講費用

受講費用も自治体により異なります。目安としては3,000円前後で、無料から5,000円程度です。受講料を事業所が負担してくれるところもあるので、あらかじめ確認しておきましょう。

 

●認知症介護基礎研修の難易度は?

認知症介護基礎研修は、認知症の基礎的な知識を持った介護職員を増やすための研修ですので、それほど難易度は高くありません。各章の最後には確認テストが設けられていますが、何度でも挑戦できますし、しっかり研修を受けていれば合格できる内容です。

 

 

認知症介護基礎研修と介護職員初任者研修の違いは?

介護職の入門資格といえば、介護職員初任者研修がよく知られています。認知症介護基礎研修との違いを確認しておきましょう。

●認知症介護基礎研修と介護職員初任者研修はどちらがおすすめ?

すぐにでも介護の仕事を始めたい人には認知症介護基礎研修、じっくりと介護の基礎を学びたい人には、介護職員初任者研修がおすすめです。
介護職員初任者研修では認知症ケアについても学ぶため、介護職員初任者研修を受講すれば認知症介護基礎研修が免除されます。カリキュラムは約130時間(最短で1ヵ月程度)かかるため、1日で終わる認知症介護基礎研修と比べて時間がかかりますが、じっくりと介護業務についての知識や技術、腰を痛めない身体の動きなどを学ぶことができます。
なお、介護職員初任者研修は就職先が決まっていなくても受けることができるので、就職する前に基礎知識をしっかりと身につけたい方におすすめです。また、介護職員初任者研修を修了すると訪問介護事業所で働くことができますし、求人も多くなるので就職や転職の選択肢が広がります。

 

●認知症介護基礎研修を受講するメリットは?

認知症介護基礎研修を受講することで、認知症の人や認知症の症状に対応できるようになります。正しい知識を持たずにケアをする状況は、認知症の人だけではなく、介護職員にも大きなストレスとなります。認知症介護についての基礎的な知識を身につけることで、自分のケアに自信を持てるようになるのではないでしょうか。1日で修了できるので、すぐにでも介護職に挑戦したい方には、取り組みやすい研修です。

認知症介護基礎研修を受けていても、介護職員初任者研修で免除となるカリキュラムはありません。介護職員初任者研修を修了していれば認知症介護基礎研修は免除されるため、別途受講する必要性がなくなってしまいます。

 

 

認知症介護基礎研修の次に取得を目指す資格

介護職としてのステップアップを目指すなら、介護職員初任者研修や介護福祉士実務者研修、そして介護福祉士に進むようになります。
上記の資格を取得しながらキャリアアップする以外にも、認知症ケアにフォーカスした研修もあるのであわせてご紹介します。
いずれも公的な研修で、費用はかかりません(受講資格や詳細な内容などは各都道府県によって異なる場合があります)。

●認知症介護実践者研修

認知症の人の介護に関する実務経験2年以上で取得できるのが、認知症介護実践者研修です。
認知症介護に必要な、実践的な知識や技術を学びます。講義と演習で6日間と自施設での2週間の実習で修了となります。

 

●認知症介護実践リーダー研修

原則として、認知症の人の介護業務に5年以上従事した経験があり、認知症介護実践者研修を修了して1年以上経過している方が受講の対象です。
認知症ケアに関する深い理解と実践力の取得だけではなく、各事業所でリーダーシップを発揮するためのスキルの習得も目指します。講義と演習で8日間と、5日間の他施設実習、約4週間の自施設実習で修了となります。

 

●認知症介護指導者養成研修

認知症介護研修事業の企画・立案・講師を行う指導者を養成する研修です。国家資格の取得やおおむね5年以上の介護経験、認知症介護実践者研修ならびに認知症介護実践リーダー研修を修了した者などの中から、各自治体の知事が適当と認めて推薦を受けた方が受講できます。
地域のインストラクター的な存在になるため、9週間の研修の中で、より高度な認知症ケアの知識や技術、教育、研修プログラムの計画と運営などを学びます。

 

 

認知症介護基礎研修に関するよくある質問

●認知症介護基礎研修を受講する際に何が必要ですか?

認知症介護基礎研修は原則としてeラーニング研修となるため、インターネット環境と受講する端末(パソコン、タブレット、スマートフォンなど)が必要です。
また、就業先の事業所IDが必要となります。そして、介護職員初任者研修のように、就職先が決まっていない状態であらかじめ受講することはできません。

 

●認知症介護基礎研修の合格率はどのくらいですか?

合格率は公表されていませんが、認知症介護への基礎的な知識を持った介護従事者を増やすための研修なので、しっかりと受講していれば落ちる心配はありません。

 

●認知症介護基礎研修の受講期限はいつですか?

認知症介護基礎研修は、2024年4月から完全義務化されるので、無資格の介護従事者は2024年の3月末までに受ける必要があります。

 

●認知症介護基礎研修の受講は必須ですか?

認知症介護基礎研修は、介護に直接携わる職員のうち、医療・福祉関係の資格を持っていない人に義務づけられます。介護職員初任者研修や介護福祉士、社会福祉士などの資格を持っている人は対象外です。ただし、認知症介助士や認知症ケア専門士などの民間資格しか取得していない人は、受講が必須となります。

 

 

まとめ:入社時研修でしっかりサポート!ニチイなら無資格からでも安心して働けます!

認知症介護基礎研修は、2024年4月から無資格の介護職員に受講が義務づけられます。 ニチイなら、認知症介護基礎研修の受講も、入社時研修でしっかりとサポートを受けられるので、無資格からでも安心して介護職に挑戦できます。また、ニチイは長く働ける環境や制度が整っているのも魅力。各種休暇制度や勤務形態の変更、子育て支援制度などのサポート体制が充実しています。介護職のお仕事内容や資格の取得について、もっと知りたいという方は、まず「お仕事相談会」へご参加ください。開催日程などは、こちら からご覧いただけます。



 
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