「特定処遇改善加算」とは?

「特定処遇改善加算」とは?

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介護職へこれから就職、転職を検討されている方要チェック!「特定処遇改善加算」って何?

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2021.03.15

「社会に貢献ができる仕事がしたい」

「資格、経験が活かせる職業に就きたい」

「でも、介護職は低賃金のイメージ・・・」

「長く働きたいけど、体力的にもつのだろうか」

 

あなたの「介護」へ対するイメージはどのようなものですか?

これから介護のお仕事に就こうと考えている方に、ぜひ知っていただきたい2019年10月に国が新設した「介護職員等特定処遇改善加算」について解説します。

 

介護職員等特定処遇改善加算って何?

「漢字ばかりで難しそう!と思われるもしれませんね。新設された「介護職員等特定処遇改善加算」を簡単に説明すると、経験を積んでキャリアップし、高い技能を身につけた介護職員に対して、そのキャリアやスキルに見合った処遇改善(給与アップ)をすることで、金銭面の不安による離職を防ぐことを目的としてつくられた制度です。

 

「経験や技能がある介護職員に対してつくられた制度」と聞くと、介護のお仕事未経験・無資格の方、介護のお仕事に就いていない方や、これから介護のお仕事を始めようとお考えの方には、「自分には関係ない!」と思われるかもしれませんが、ご自身の将来に大いに関係がありますので、ぜひ今のうちから知っておいてください。

 

・特定処遇改善加算の改定の背景

超高齢社会の日本では、慢性的な介護職員の不足は大きな問題で、団塊の世代が75歳以上になる2025年までに、さらに約38万人の人材を確保しなければならないと言われています。

 

厚生労働省の調査によると、介護サービスを行っている事業所が人手不足と感じる度合いは強く、2019年度では、訪問介護員について「大いに不足」と回答した事業所は26.5%、「不足」は29.2%、あわせて55.7%の事業所が、人手不足を感じていることがわかります。

 

 

また、介護施設などを運営する事業所についても、「大いに不足」が13.5%、「不足」が22.2%、あわせて35.7%の事業所が、人手不足を感じているという結果でした。

 

 

注)介護職員(施設等):施設介護以外の指定事業所で働く者。訪問介護職員:訪問介護事業所で働く者

出典:厚生労働省資料「令和3年度介護報酬改定に向けて(介護人材の確保・介護現場の革新)」

   

また、前職の職種が「介護関係職種」と回答した人を対象に前職の離職の理由を調査(※)したところ、「人間関係」や「法人・事業所の理念や運営のあり方」などへの不満とともに、「収入が少なかったため」と、待遇への不満を理由に退職した人の割合が、15.5%という結果が出ています。
※【出典】平成29年度介護労働実態調査 ((公財)介護労働安定センター)  

 

こうした人材不足、待遇への不満による離職という課題を解消するために、2019年10月に新設されたのが、「介護職員等特定処遇改善加算」。特に、キャリアのある介護職員の待遇改善を目的として、キャリア(経験・技能)のある介護職員に対し、上乗せする給与分を国が負担する制度です。

   

以前からあった、すべての介護職を対象とした「処遇改善加算」に上乗せする待遇改善を行うことで、特に優秀な介護職員のキャリアにふさわしい待遇の実現を可能にしました。

加算配分について

では、介護職員処遇改善加算の仕組みについて紹介します。少々難しい説明になりますが、参考までにご一読ください。

 

出典:厚生労働省「令和3年度介護報酬改定に向けて」

 

<キャリアパス要件>

キャリアパス要件①
職位・職責・職務内容等に応じた任用要件と賃金体系を整備すること

キャリアパス要件②
資質向上のための計画を策定して研修の実施又は研修の機会を確保すること

キャリアパス要件③
経験若しくは資格等に応じて昇給する仕組み又は一定の基準に基づき定期に昇給を判定する仕組みを設けること

 

加算には、さまざまなタイプがあります。

・キャリアパス要件①~③をすべて満たせば、月額3.7万円に相当する加算(I)。

・① と②どちらも満たせば、月額2.7万円相当の加算(Ⅱ)。

・① か②いずれか一方を満たせば、月額1.5万円相当の加算(III)です。

2020年3月時点で、91.7%の事業所がI~IIIタイプの加算を利用しています。

特定処遇改善加算の対象や条件は?

特定処遇改善加算の対象になるには、条件があります。基本は、「勤続10年以上の介護福祉士」の中で、「月8万円加算、もしくは年収440万円の人がいるようになること」ですが、ほかにどういった条件があるのか見ていきましょう。

 

・算定要件~前提となる条件

特定処遇改善加算の対象になるには、事業所が次のことを実施していることが前提となります。

①従来の処遇改善加算Ⅰ~Ⅲのいずれかを算定している

②職場環境について、「資質の向上」、「労働環境・処遇の改善」、「その他」の区分で、それぞれ1つ以上取り組んでいる

③賃上げ以外の処遇改善の取り組みの見える化をホームページなどで行っている

③は、これまで条件になかったのですが、2020 年度から要件に加わりました。

 

・対象になる職員の条件

前提条件をクリアしたうえで、対象になる人を決めます。特定処遇改善加算では、職員を3つの区分に分けたうえ、加算した後の全体の配分ルールが決められています。

まずは、職員を3つのグループに分けます。

 

A「経験・技能のある介護福祉士資格を持った職員」

B「その他の介護職員」

C「その他の職種」(役職者を除く年収440万円以上の者は対象外)

 

その後、ルールに則って配分を決めます。

・ルール1:Aの職員のうち1人以上は、月8万円もしくは年収440万円まで賃金アップさせること。

・ルール2:処遇改善額が、AはBの2倍以上、CはBの2分の1以下に設定すること。

この特定処遇改善加算の経験や技能についての判断は、事業所に任されています。職員の区分も事業所が決められます。事業所に判断を委ねる部分が多く、ある程度の柔軟性を持っているので、例えば、「自社に10年いたわけではないが、経験歴が10年以上ある人」を対象にすることもできます。

介護職へこれから就職、転職をお考え方へ

介護職のお仕事にこれから就こうとお考えの方は、「10年なんてまだまだ先」、「今の時点では介護福祉士になっていない」など、気が早い話だと思うかもしれませんが、ご自身のキャリアップを考えるうえでの参考として、国レベルで取り組みが行われている「特定処遇改善加算」があることを、ぜひ覚えておいてください。

 

・2021年の特定処遇改善加算は

「特定処遇改善加算」は、まだできたばかりの制度で、現時点でも、どうすれば介護職員などの待遇が改善されるのか、検討が続けられています。

2021年には、制度のさらなる改善が見込まれており、さらに良い待遇の実現を目指して変化していくことが予想されます。

 

きゃりあネットでは、これからも、新しい情報が入り次第、こちらで発信していきますので、ぜひ、時々チェックしてご覧ください。

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